シュラフの選び方:快適温度と下限温度の違いについてわかりやすく解説
シュラフ選びで「快適使用温度」や「下限温度」といった言葉をよく見かけることと思いますが、これらの違いをご存じですか?
寒さの感じ方は個人差が大きいため、各メーカーが統一された基準で温度表示を行うために「EN(ヨーロピアンノーム)」や「ISO規格」を採用しています。
EN・ISO規格って何?
EN(EN13537)やISO(ISO23537)規格は、欧米を中心に使用されているシュラフの性能基準です。これにより、メーカー各社が同じ基準で快適温度や下限温度を表示しています。このテストは認定第三者機関が行うため、ユーザーも安心して信頼できるデータとして使えるのです。
3つの温度表記
- 快適温度(Comfort):一般的な成人女性が寒さを感じずに眠れる温度。
- 下限温度(Limit):一般的な成人男性が丸まって8時間眠れる温度。
- 極限温度(Extreme):一般的な成人女性が低体温症になる手前で6時間過ごせる温度。
※測定はベースレイヤーを着せたマネキンで行われ、客観的なデータを得るために「標準男性(身長173cm・体重73kg)」と「標準女性(身長160cm・体重60kg)」の設定が基準となります。
EN・ISO規格を使う際の注意点
欧米基準で作られているため、一般的にアジア人は欧米人に比べて寒さに弱い傾向があります。そのため、シュラフの選び方では「下限温度よりも3度ほど余裕を持つ」のが安心です。
男性用と女性用シュラフの違い
シュラフには男性用・女性用モデルがあり、女性用シュラフにはより多くの保温材が使われています。女性は夜間に体温が下がりやすいため、寒さを感じやすいことを考慮しているのです。例えばNEMOのディスコシリーズでは、女性用の方が少し重量が増え、収納サイズが大きくなる傾向にあります。
シュラフの温度表記はあくまで目安
シュラフの温度表記は目安であり、実際の快適さは「服装」や「シュラフの下に敷くマットの性能」などの要因に左右されます。
また、ENやISO規格に適合しているシュラフであっても、就寝姿勢や肌触りなど、数値には表せない快適性も重要です。
ENやISO規格による温度表記を参考にしつつ、登山スタイルや体質に合わせたシュラフ選びを心がけましょう。